農業施設
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下水汚泥焼却灰を用いた養液栽培用培地の開発
宮本 眞吾 箕輪 陽介田中 史彦
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2011 年 42 巻 3 号 p. 92-99

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抄録
産業廃棄物として処理されなければならないロックウールの養液栽培用代替培地として,現在最終処分が問題になっているゴミ焼却灰を利用した培地の作製を行い,代替培地としての利用の可能性について検討した。代替培地に用いた材料は下水汚泥焼却灰,木炭粉およびうわ薬で,木炭粉は空隙率を増加させ,含水比の増加を図るために,うわ薬は低温で焼却灰を焼成するために混入し,培地の物理性の違いと栽培による適合性などを調べた。850 ℃で焼成した配合材料質量比(焼却灰:うわ薬:木炭粉)10:1:3 の試料は,含水比60%前後の水分を保有しながら,圧縮荷重およそ40 N を示し,試料の取扱いにも十分耐えうる硬さであり,かつ,手でも潰せるほどの硬さであることが分かった。これらの試作培地を用いて行ったロックウールとの比較栽培試験結果から,配合比割合10:1:3 の試作培地は生長速度,着果率ではロックウール栽培とほとんど変わらない生育を示した。また,作製した培地は栽培後でも,圧縮荷重およそ40 N,含水比およそ70%前後と使用前と使用後であまり変わらない物性値を示し,再使用の可能性と廃棄の容易さを有していることが分かった。これらのことから,焼却灰に木炭粉とうわ薬を配合して作成した配合比10:1:3 の試料はロックウールの代替培地としての利用価値が十分にあるものと思われ,汚泥焼却灰利用の一助にもなり得るものであることが分かった。
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