抄録
近年,情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)の急速な進展に伴い,様々な施設園芸向けの環境計測システムが利用されている。施設園芸での環境計測の実施は環境情報の可視化や共有を可能とするとともに,エネルギーマネジメントへの活用も期待される。本研究では,すでに販売されている施設園芸向け環境計測システムの機能について情報を収集し,その現状を分析した。さらに,これらの製品と新たに開発した園芸施設エネルギー・環境モニタリングシステムの特徴を比較し,改善点を検討した。調査においては,カタログなどで得られる情報を用いて,現状として環境計測システムがどのような機能を有しているかを明らかにするとともに,製品ごとに5項目のスコアを用いたレーダーチャートを作成し,それぞれの特徴を可視化した。この結果,接続可能なセンサー数に大きな幅があること,計測項目より計算機能などソフト面での機能の方が多様であること,電源種別の選択では安定性,インターネット接続方法では設置しやすさを重視する傾向があることなどが明らかになった。また,新たに開発したシステムについて,設置しやすさの向上や農家向けの補助的な機能の拡充が重要であることが示唆された。