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異なる収録環境で検出可能な少数の音響特徴量を用いる豚くしゃみの自動検出
味藤 未冴来青木 拓也川岸 卓司水谷 孝一 善甫 啓一若槻 尚斗前田 祐佳竹前 喜洋西藤 岳彦
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2019 年 50 巻 4 号 p. 146-157

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抄録
豚インフルインザの初期症状として,豚のくしゃみが増加する。感染豚特有のくしゃみ多数収集は困難であるため,くしゃみ分類器は少数の音響特徴量を利用することが望まれるが,従来法の分類性能は F 値60%程度で留まり,異なる環境・音響特徴量との性能比較がされていない。本稿の目的は,収録環境に依存しにくく,少数の音響特徴量を用いる高性能なくしゃみ音分類器の構築である。まず,複数種類の豚インフルエンザ感染時の豚の動画像・音信号を,複数位置で約2週間収録し,音信号から定めた検出基準のもとで音響イベントを74533サンプル自動検出した。音響イベントの一部に対し,動画像を併用しながらラベル割当てを施し,くしゃみ144サンプルを含む音響イベントを収集した。音響イベントから様々な音響特徴量を抽出し,Support Vector Machine に基づく分類器を構築して,分類性能を比較評価した。結果として,Mel Frequency Cepstral Coefficients およびスペクトルの立ち上がりの鋭さを表現した特徴量,低周波帯の周波数変動を表現した特徴量を併用した場合,従来法より大幅に高い F 値92.8%でくしゃみ分類を可能とした。さらに,学習済分類器を用いることで,3764 サンプルのくしゃみ音の検出を可能とした。これらにより,少数の音響特徴量を用いた,収録環境に依存しにくいくしゃみ自動判別器が構築された。
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