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超音波プローブを用いた豚舎内の気温分布測定
藤田 侑希海老原 格 若槻 尚斗水谷 孝一中久保 亮石田 三佳西島 也寸彦
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2024 年 55 巻 2 号 p. 37-43

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抄録
温度ストレスに弱い豚の生産性を最大限に追求するためには,温度ムラの大きな豚舎内の気温分布を日々監視し,制御することが不可欠である。我々は,先行研究で,大規模空間の気温分布測定に適した超音波プローブに着目し,豚舎内における実運用に適した設計を検討してきた。前記超音波プローブは,汎用的なシングルボードコンピュータの信号入出力インタフェースを活用することで,簡便に構築可能でありながら,音波の伝搬経路上の気温の分布平均を精密に測定可能であることから,設置場所が制限される豚舎内での運用に適していると考えられる。しかし,豚舎内における伝搬経路上の気温の分布平均および伝搬経路で囲まれた平面上の気温分布の測定の実証には至っていない。そこで,本稿では,前記豚舎内の気温の分布平均および気温分布の測定実験を行い,測定精度を評価した。実験の結果,前記超音波プローブは,6.83 m の経路上の気温の分布平均を誤差0.55 ℃で,気温分布(6 面上の気温)を誤差0.73 ℃で測定できることが明らかになり,豚舎内の気温を監視・制御するのに,十分な測定精度を有する可能性が明らかになった。この結果から,前記超音波プローブを用いて豚舎内の気温を管理することで,健康な豚の効率的な肥育と,飼育者の労働負荷低減に貢献することが期待できる。
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