抄録
営農型太陽光発電は農地の上部に太陽光パネルを設置することで,ひとつの土地から農産物と電力を同時に得るシステムである。本システムは日本を含め,世界的に拡大し実用されている。しかし,農業と発電の最適なバランスを実現する技術は完全には体系化されていない。そこで,本研究では営農型太陽光発電に関して,日本及び世界における当該技術の状況と,研究実施状況を明らかにするため,文献調査を行った。文献調査の結果,国内外ともに本分野の研究が活発化したのは2020年以降と最近のことであった。国内で発表された論文に関しては2022年までに発表されたものは31件と限られていた。また,発表されている内容としては,発電技術をテーマとしたものが栽培技術をテーマとしたものより多く,国内で発表された論文においては社会科学系の研究が最も多かった。営農型太陽光発電は農業生産と太陽光発電を同時に行うという土地利用形態である。農業生産の側面から見ると本来,農地で得られる日射量の一部が太陽光発電に利用されている。日射は作物生育において重要な要素であるため,農地元来の食料生産という目的に与える営農型太陽光発電による負の影響を可能な限り軽減する作物栽培技術の体系化に資する研究が必要である。