抄録
本研究では, 揺動選別による玄米と籾の分離特性を明らかにするために, 揺動板上の玄米及び籾の移動と分布状態について検討した。幾つかの混合比について揺動選別実験を行ない, 揺動板上で生じる多様な現象を整理し, 分離モデルの作成に必要な仮定について検討した結果, 以下の知見が得られた。
(1) 揺動板上の玄米, 籾の混合物全体は入口領域, 分離領域, 搬送領域に分けられ, 各領域の大きさは混合比に影響を受ける。(2) 玄米の搬送方向の移動は, ほぼ一様流れと見做せるが, 籾は一様流れとは見做せず, 玄米よりも搬送速度が大きい。(3) 玄米と籾の分離方向分布は mass centroid pathway (質量中心径路), 分布位置の標準偏差及びひずみ度により解析でき, 未分離領域と分離領域の位置と大きさ, 排出端での分離性能がこれらのパラメータにより説明できる。