農業施設
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生シイタケの品質保持に及ぼす環境ガス制御の影響
プジャントロ リリク志賀 徹齋藤 高弘伊庭 慶昭
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1995 年 25 巻 4 号 p. 191-199

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抄録
本研究は、生シイタケの長期間品質保持を目的として、シイタケの品質劣化に密接に関連する呼吸速度とポリフェノールオキシダーゼ活性に及ぼす温度, 酸素濃度および炭酸ガス濃度の変化について検討したものである。生シイタケは温度0, 5℃, 酸素濃度1, 5, 10%, 炭酸ガス濃度5, 10, 15, 20%の条件を組み合わせて2週間, 密閉容器内に貯蔵された。
これらの結果, 低酸素 (1%) 化または高炭酸ガス (20%) 化により呼吸速度は一般空気状態に比べて減少し, また酸素濃度の低下および炭酸ガス濃度の増加に比例して呼吸速度が抑制されることが明らかになった。呼吸商 (RQ) は貯蔵中一般空気下においてはほぼ1に近い値をとったが, 制御ガス環境下においては呼吸商は1より小さくなる傾向を示した。
ポリフェノールオキシダーゼ (PPO) 活性は貯蔵が進むにつれて一般空気下では増加したが, 制御ガス環境下では減少し, ガス環境制御による効果を示した。特に低酸素濃度で炭酸ガス濃度を増加させるとPPO活性抑制の効果が著しく, 一方高炭酸ガス濃度下では酸素濃度を変化させてもPPO活性に与える影響は少なかった。生シイタケの果肉部のpHは一般空気下では減少し酸性を示したが, 環境ガス制御によりpHの減少は認められず, 生体内でのpHが高く維持されることによりPPO活性の増加が抑制された。
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