農業施設
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メチレンブルー溶液を利用した天然岩石の汚濁物質吸着能の推定
河野 俊夫吉村 卓紘河合 将史石川 勝美
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2005 年 35 巻 4 号 p. 221-228

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抄録

農業施設からの汚水を排出する時, あるいは農業用水を利用する際には水の浄化が必要であるが, 現在の浄化方法は一般にコストがかかる。天然に豊富に産生する岩石は多孔質で表面に電荷を帯びており, 懸濁液中の物質を吸着する性質があり, 低コストな汚水浄化方法の一つとして利用することが期待される。しかし, 天然岩石の物質吸着能は定量的には未だ明らかでない。
そこで天然岩石の物質吸着能を定量的に明らかにするため, メチレンブルーを吸着物質として, 初期最高濃度10~20ppm, 溶液温度10~30℃の範囲における吸着実験を行った。供試岩石には, 塩基性片岩, 蛇紋岩, 中国産石英斑岩, 日向産石英斑岩の4種類を用いた。Langmuir の吸着速度式と, IUPACの類型でI型に属する吸着等温式を組み合わせた, 岩石の物質吸着プロセスモデルを提案し, 吸着プロセスのシミュレーションを行った。
岩石によるメチレンブルー吸着量の経日変化は, 提案した岩石の物質吸着プロセスモデルでシミュレーションできることがわかり, 岩石の物質吸着に関する基本特性値を推定することができた。
その結果, 吸着速度は溶液温度が10℃や30℃の場合よりも20℃が大きいことが分かった。また, 最終的な吸着量はどの供試岩石についても30℃で最も多く, 8.02×10-7~9.03×10-7g/grocks, であり, この値は10, 20℃に比べて4~4.5倍であることが分かった。

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