生物物理化学
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児玉賞受賞講演 ミニレビュー
電気泳動法を用いたがん個別化医療のためのバイオマーカー開発
近藤 格
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2011 年 55 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

がんは分子生物学的にそして臨床的に多様性に富んだ疾患であり,同じ臨床病期に診断される症例であっても治療に対する応用性はしばしば異なっている.個々の症例に最適な治療を施すために,がんの個性をより詳細にみきわめるための診断技術が求められている.電気泳動法によって作製された分子プロファイルと臨床病理学的データを統合することによって,がん細胞の個性診断のためのバイオマーカー候補を同定できる.蛍光二次元電気泳動法という新しい技術によって,定量的で,再現性と感度の高い,ハイスループットかつより網羅的なタンパク質発現プロファイルの作製を行っている.他のアプローチとして,抗体を基盤とした発現プロファイルの作製も行っている.大規模な抗体ライブラリーを用いてウェスタンブロッティングを行うというものである.電気泳動法はバイオマーカー開発においてたいへん有用なツールである.

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© 2011 日本電気泳動学会
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