抄録
酵素結合性免疫グロブリン (E-Ig) は overlapping する率の高いことが判明した.
各E-Igの出現率から理論的に予測されるE-Igの重複率よりも, LDH-IgとALP-Igの実際の重複率は24倍, LDH-IgとCK-Igのそれは16倍, CK-IgとALP-Igのそれは11倍, LDH-IgとAMY-Igのそれは18倍であった. AMY-IgとALP-Igの重複例と, AMY-IgとCK-Igの重複例はなかった.
重複例12例中9例は60歳以上の高齢患者であった. 性差はなく, 疾患に特徴はなかった. 残る3例は autoimmune disease であった. 今回の検討から, E-Igの出現しやすい病態として aging と autoimmune disease を推定した.
E-Igは, 25,915例の無選択患者から検出した. (ただし, AMY-IgとCK-Igはそのうちそれぞれ22,110例, 19,226例のみにつき検索が行なわれた.)
LDH-IgとAMY-Igのスクリーニングはアイソザイム分析で, CK-IgとALP-IgのスクリーニングはES法で行なった. LDH-Ig, CK-Ig, AMY-Igの同定は免疫混合法で, ALP-Igの同定はES法で行なった.
CK-Igの出現率は0.37%, LDH-Igの出現率は0.33%, ALP-Igの出現率は0.25%, AMY-Igの出現率は0.17%であった.