生物物理化学
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親和吸収と自動電気泳動によるM成分416検体の同定
右田 俊介竹上 美也子奥村 次郎永井 康雄橋本 寿美子大竹 皓子芝 紀代子小西 奎子瀬崎 達雄
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1992 年 36 巻 6 号 p. 387-394

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抄録

M成分の同定用の免疫電気泳動または免疫固定法には欠点が多い. 親和吸収電気泳動ではクラス特異的試薬として Omnibind, Jacalin, dithiothreitol を3本のチップにとって凍結乾燥した. これに試料血清を吸引して, サンプルトレーに入れ全自動電気泳動すると, どのチップによりM成分のパタンが変化したかにより, IgG, IgA, IgMを同定した. この方法は全自動泳動装置があれば短時間 (40分) で, 初めての人でも容易にタイピングすることができた. そこでM成分血清416例を分析し, 384例, 92.3%について正しく同定できた. 残りは比較的稀なIgA2, IgD, L鎖型, H鎖型などで, 特定のパタンにはならなかった. さらに微量のM成分は判定に困難な場合があった. そのほか実施する上での注意点をのべた. この方法は抗体を使わないM成分タイピングであり, 経済的でルーチンの検査法として広く用いられてもいいと思われる.

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© 日本電気泳動学会
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