1993 年 37 巻 2 号 p. 123-128
何ら内壁処理をしていないシリカキャピラリー管内に, ポリアクリルアミドゲルを充填し, このキャピラリーゲルが電気泳動によるオリゴヌクレオチドの分析にどの程度の性能を示すかを検討した. キャピラリー管に, アクリルアミドを含む緩衝液を注入し, 重合を開始させた. ゲル中に気泡を生じないように過硫酸アンモニウム濃度を調節した. 重合には, 架橋剤を加えて重合させる方法と架橋剤なしで重合させる方法の両方を用いた. 得られたキャピラリーゲルを用いた電気泳動で, オリゴデオキシアデニル酸(40~60量体の混合物)を1塩基鎖長の違いで分離でき, また大腸菌プラスミドの制限酵素による消化産物も高い分離能で分離できた. これらの結果は, 内壁未処理のシリカキャピラリーも, オリゴヌクレオチドやDNA断片のキャピラリーゲル電気泳動による分析に実用できることを示している.