Superoxide dismutase (SOD) は生体では, スーパーオキサイドを除去することにより, ヒドロキシラジカルの生成を押さえている. ヒドロキシラジカルは, 遷移金属によるフェントン反応やNOからの peroxynitrite を経由して生成する. Cu, Zn-SODは糖化をうけ, 活性を失うのみならず断片化する. このため, 生体ではいわゆるフェントン反応を加速する結果を招き, ヒドロキシラジカルの生成によるタンパク質やDNAの切断をおこす. Mn-SODは, TNFやIL-1さらにはフォルボールエステルにより誘導をうける. 卵巣癌や呼吸切迫症候群などでは, サイトカインが血管内皮細胞に作用し, Mn-SODを発現し血中にも遊離する. この誘導機構にはプロテインキナーゼCを介するものとしないものがある. NOもスーパーオキサイドと反応して, peroxynitrite を経て, ヒドロキシラジカルを生成する. ラットの実験的大腸炎では, 誘導性のNO合成酵素の著しい発現と活性の上昇がみられる. 一方, Mn-SODはmRNAは著しく発現する. しかし, Mn-SOD蛋白の量や活性は低下する. このMn-SODの活性低下は, ヒドロキシラジカルの生成を加速する. このような, ヒドロキシラジカルの産生の増加が, 活性酸素による組織障害で重要な役割を果たしているものと考えられる.