ヒトのALPは, 臓器非特異型, 小腸型, 胎盤型, 類胎盤型の4型に分類されている. 骨のALPは臓器非特異型で, 肝のALPも同じ臓器非特異型遺伝子の産物であるが, 転写の機構が異なり, 骨とは別のmRNAが作られている. 歯根膜のALPは, 酸素化学的, 免疫学的性質から, 臓器非特異型であるが, 遺伝子については不明であった. われわれは, 培養歯根膜細胞のcDNAライブラリーから骨のALPとまったく同じcDNAを分離することに成功した. また, 低アルカリホスファターゼ症の研究では, ALPの生理的機能の解明が期待されるが, われわれも血清で免疫学的診断を試みている. また, ラットを用いた骨動態研究では, 卵巣摘出により, ALP活性は, 血清で増加し, 骨で低下するが, 自由運動では, 血中, 骨中のALP活性, いずれも上昇しており, 骨代謝の指標としてのALP活性レベルについては, いろいろな制御機構を考える必要があろう.