生物物理化学
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消化器疾患における高分子型ALPの臨床的意義
渡辺 伸一郎菊野 晃西野 隆義竹内 正林 直諒宇田川 真弘北田 増和菰田 二一
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1994 年 38 巻 3 号 p. 161-166

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抄録

消化器疾患を対象にPAG法を用いてALPのアイソザイム分析を行い, 高分子型ALPのうち, 特に retained R1, R2および biliary 型の疾患別検出率や閉塞性黄疸の経過との関係などについて検討した. PAG法における高分子型の検出率は, R2は健常成人で30%に, 各疾患で80~100%に認められた. R1は閉塞性黄疸・総胆管結石で100%, 急性肝炎・肝硬変で約80%に認められたが, 健常成人では認められなかった. biliary 型は閉塞性黄疸で82%, 肝硬変で63%に認められたが, 健常成人・肝細胞癌では認められなかった. 閉塞性黄疸の82%はR1優位を示し, その他の疾患ではR2優位を示した. 閉塞性黄疸ではPTCD後黄疸の軽減と共にR1および biliary 型がR2に比べ急速に減少・消失し, R1優位からR2優位へと変化した. 閉塞性黄疸では, 高分子型, APLの内R1がALP総活性・GGTと biliary 型がALP総活性・胆汁酸とよい正の相関を示したが, 腫瘍マーカーとの間には相関は認められなかった.

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