凝固阻止蛋白欠乏症
1994 年 38 巻 6 号 p. 397-402
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1994 年 38 巻 6 号 p. 397-402
生体内の血液凝固調節系には, アンチトロンビン (AT) によるトロンビンの中和, およびプロテインC (PC)-プロテインS (PS) による活性化凝固第V, VIII因子不活化の系が存在する. ATはトロンビンと1:1の複合体を形成しトロンビンを不活化するが, この作用は血管内皮細胞上に存在するヘパリン様物質にATが結合することによって1,000倍以上にも加速されるという特徴をもつ. PCは血管内皮細胞上のトロンボモジュリンに結合したトロンビンにより活性化され活性型PCとなり, 補酵素PSと共同して活性化凝固因子の限定分解や線溶系の活性化をもたらす. これら両系に関与する因子 (AT, PC, PS) の先天性欠乏症は種々の血栓症を惹起し, これら因子が生体内で実際に抗凝固作用を発揮していることが判明した. 種々の血栓症や種々の病態におけるこれら因子の測定は, 血栓症の病因の解明および血栓準備状態の把握に有用である.
