生物物理化学
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消化器癌におけるマトリライシンの発現および活性化
ザイモグラフィーを用いた検討
伊東 文生足立 靖今井 浩三
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1996 年 40 巻 6 号 p. 319-324

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抄録

マトリライシンはマトリックス・メタロプロテアーゼ・ファミリーの一員であり, 種々の癌における浸潤・転移過程に関与していることが報告されている. 我々はこれまで, マトリライシンが大腸癌の進展に関連していることを報告してきた. マトリライシンは大腸癌において高レベルで発現しており, さらに, cDNAを導入することにより大腸癌細胞株の浸潤能が亢進した. 大腸癌におけるマトリライシンの解析にザイモグラフィーを用いたところ, 癌組織では活性型が主として発現していること, 遺伝子導入した癌細胞はマトリライシンの活性にしたがって浸潤能が亢進していることを確認した. 肝細胞癌においても, 活性型マトリライシンがその病理学的諸因子と関連していた. 以上より, 活性型マトリライシンと消化器癌の進展との関連が示唆され, さらにそれらを解析する際には, ザイモグラフィーが大変有用であった.

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© 日本電気泳動学会
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