生物物理化学
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肥満とDNA: エネルギー代謝の遺伝的要因
小泉 昭夫
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1997 年 41 巻 3 号 p. 145-148

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抄録

遺伝的に肥満を発症するob/obdb/dbマウスの発見は, 肥満の分子生物学的検討を可能にし, レプチンとその受容体の発見へと導いた. レプチンと, レプチン受容体, および関連するシグナル介在物質は, ネットワークを形成し, 体脂肪量をある先見的に決められたセットポイントに保つように協調している. レプチンはシグナルとして脂肪組織から大脳へ情報を伝達し, エネルギーの摂取と消費のバランスを取っている. エネルギー摂取の制御は食欲を介し, 消費の制御は熱産生を制御することで行っている. レプチンにより肥満が解消できるのはほんのわずかの人々であると予想されるが, この発見は抗肥満薬として多くの人々に希望を与えており, この驚異のやせ薬は, 近年現実のものになりつつある.

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© 日本電気泳動学会
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