生物物理化学
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ミクロ2次元電気泳動法を用いた補体第3成分 (C3) 断片化酵素の検討
島崎 洋次室 征芳真鍋 敬
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2001 年 45 巻 1 号 p. 89-92

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抄録

ポリエチレングリコール分画法によりアルブミン量を減らしたヒト血漿タンパク質を未変性条件の等電点電気泳動法 (IEF) により分離した. この等電点ゲル内で分離されているタンパク質を, トリプシン, Achromobacterprotease I (API) または, Staphylococcus aureus V8 protease (V8) で酵素処理した後, SDS-メルカプトエタノール存在下で, 変性還元させ, タンパク質を構成するポリペプチドをSDS-PAGEで分離した. 酵素未処理やそれぞれの酵素処理をしたもので, 得られたポリペプチドスポットのIEF-SDS-PAGEパターンを比較した. 補体第3成分のα鎖 (C3α) がトリプシンにより効率よく断片化されているのに対し, アルブミンやIgGなどはこの酵素では断片化されにくいことがわかった. 一方, APIやV8では, アルブミンが効率よく断片化されているのに対し, C3αが断片化されにくいことがわかった. これらの結果から, 未変性条件のIEF内で, トリプシンはC3を効率よく断片化する酵素であることがわかった.

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© 日本電気泳動学会
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