さらなるゲノム解析の高速化のために, 革新的なゲノム解析方法である1分子ゲノム解析を目指して, そのために必要とされるDNA分子のマニピュレーション技術の開発を行った. 今回紹介した方法は, アガロースゲル中のDNA分子に10Hz前後の周波数の交流電場を印加すると, DNA分子が電場方向に伸張するという現象を利用したものである. この伸張現象を, 高分子物理学的な見地から説明するとともに, これを利用することにより, 最終的には100万塩基対を超える染色体DNAをも伸張させることに成功した. この方法は, 従来法に比べて非常に簡便でより高速に染色体DNAを伸張させることができるため, 1分子ゲノム解析への可能性が示唆された.