2022 年 10 巻 p. 49-58
本論文は,探究をベースにした学習活動に焦点を当て,図画工作科における芸術的な探求に基づく学習の可能性を明らかにすることである。そこで,近年の美術研究の新たな動向でもあるArts-Based Research(ABR)に着目し,その概念や実践方法を取り入れることで,従来の図画工作科の学習がどのように変容可能かを考察した。検討の結果として,芸術的探求に基づく学習活動は,主体的な学びや自己省察的な学びを実現する一つの方法であることや,子どもと教師が互いに探求的な視点に基づく対話的で生成的な学習活動の枠組みであることが明らかとなった。また,その評価の在り方としてビジュアル・ナラティヴに基づくアセスメントを提起した。