社会経済史学
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日本の地方自治における「近代地方自治制」から「現代地方自治制」への転換(第77回全国大会共通論題)
金澤 史男
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2009 年 75 巻 2 号 p. 203-220

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抄録

本稿の課題は,明治維新以降,日本の地方自治制がどのように展開してきたかを検討し,次の2つの画期の歴史的意義を明らかにすることである。第1に,日清戦争後,明治政府は,成長しつつあった商工ブルジョアジーの強い要求を受け入れ,当初の地方自治制を修正した。そこでは,たとえば選挙区や府県予算制度において市部の郡部からの独立が保証されるなどの都市自治が制度化された。第2は,第一次大戦後,中央政府が国家的視点から緊急とする課題に対処すべく,新たな公共サービスを実行させるよう地方を動員したことであり,従来の機関委任事務制度に加え様々な補助金の供給を通じて,国と地方の関係は緊密化することになった。こうした変化は,「遮断型自治」の終わり,および「近代地方自治制」から「現代地方自治制」への変容を意味するものである。

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© 2009 社会経済史学会
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