抄録
自治体キャラクター1)の公共政策的価値については,直接的な経済的効果は重要であるが,自治体のブランディングという意味では,その持続可能性が非常に有意義である。そこで,本研究ではくまモン誕生から10年間の活動の経緯とくまモンが巻き起こした現象について総括を行い,ロイヤリティフリーで全国の事業者にイラスト利用が急激に広がったことによる1回目のブーム,2016年の熊本地震後,復興支援による2回目のブームを経て,現在は,地域活性化の牽引役として定着していることが明らかとなった。全国的な認知度・好感度から,くまモンは5年連続全キャラクター中好感度1位となる等,地域,性別,年代に関わらず,満遍なく好感度は高い。ロイヤリティフリーに代表される開かれたくまモンの活動は,人々の「共感」を呼び,定着につながったと分析した。持続可能な活動という観点からは,この「共感」を「愛着」に変え,深化させることにより,持続可能性が高くなると展望した。