生活衛生
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環境汚染物質の細胞毒性
1. 金属化合物
春木 孝祐黒田 孝一岡 三知夫
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1978 年 22 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

水溶性の塩化物を中心に19元素23種の金属化合物の, HeLa-S3細胞のコロニー形成阻止効果を調べた。毒性強度の指標として, 50%コロニー形成阻止濃度 (ID50) を求めた結果, Li+,Ba2+が>1×10-3モルで一番弱く, La3+<Al3+<(Mo6+)<Co2+<(Ce3+)<(Cr3+)<Pb2+<Mn2+<Sn2+(10-4モルオーダー)<Mn7+<Ni2+<Cu2+<Zn2+, Se4+(10-5モルオーダー)<V5+<As5+<Cr6+O3<CH3HgCl<Hg2+(10-6モルオーダー)<Cd2+<K2Cr26+O7(10-7モルオーダー)の順であった。Cr3+<<Cr6+に典型的にみられるように, 金属化合物はその存在状態によって毒性強度に違いがみられた。
既知のLD50値 (ラット, マウス) とID50値の相関を求めた結果1%以内の危険率で有意の相関が認められた。
ID50値が10-6モル以下の毒性の強い化合物は細菌や動物細胞に対してDNA障害性や変異原性が認められているものが多かった。
地殼, 海水, 淡水中の存在度とID50値の関係を調べた結果, 地殼中存在度ともっとも良い相関を示した。
大阪市内大気中金属濃度とID50値を比較したところ, V, Cd, Zn, Cu, AsがID50値に比較的近い元素であり, CrもCr6+としてみた場合このグループにはいった。

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© 社団法人 大阪生活衛生協会
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