1984 年 28 巻 4 号 p. 211-218
魚臭の主要成分である揮発性カルボニル化合物に着目し, 魚肉の矯臭試験を行なったところ次の結果を得た。
1) 生鮮魚では鯖や鰯, たい, はまち, 鰻などの脂肪の多い魚にアルデヒドが多く, 各魚種ともエタナールとプロパナール, 続いて2-プテナールとn-ヘキサナールの値が高かった。
2) くん製, みそ漬, かす漬などの加工はアルデヒドの除去効果はないと考えられる。
3) 鯖肉に香辛料を添加した場合, 胡椒, セージ, クローブ, タイム, 和がらし, インスタントコーヒーでアルデヒドの減少が大であった。
4) 香味野菜はアルデヒドの除去効果を示さなかった。
5) 調味料もアルデヒドの除去効果を示さなかった。
6) 食品添加物ではα-トコフェロールとブチルヒドロキシアニソールがアルデヒドを大きく減少させた。
7) 香辛料や食品添加物の添加によるアルデヒドの減少原因として, 反応による減少, 結合などによる揮発性の抑制, 加熱蒸留中のアルデヒドの生成抑制などが考えられる。
8) pH7~8付近でアルデヒドが多く揮発し, この付近のpHで魚肉蛋白質とアルデヒドの相互作用が最も弱いと考えられる。