1988 年 32 巻 2 号 p. 56-60
細胞壁溶解酵素 lysozyme 及び N-acetylmuramidase SGによるプロトプラスト形成における浸透圧調整溶液中のMg2+と sucrose の効果を, 乳酸球菌の Streptococcus 及び乳酸桿菌の Lactobacillus の計4株を用いて検討した。
浸透圧調整物質である sucrose は, L. jugurti OSI-1に関しては, 55%の保持力がみられたものの, 他の3株に対しては, 調べた時間の中, 時間の経過と共に, その保持力は減少する傾向があった。
一方, Mg2+は, 今回用いた4株のいずれにおいても47~60%の保持効果が維持でき, 浸透圧調整物質である sucrose を用いるより効果的であった。このことは, Mg2+がプロトプラストを保持する上で, 浸透圧的作用のみならず, カチオンという作用を有することにより, 乳酸菌のプロトプラスト保持に有効性を持つことが明らかとなった。