成形加工
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論文
ナイロン塩型モノマーから作製したポリイミドシームレスベルトの機械特性
西浦 直樹村上 徹岡本 健三石川 優
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2006 年 18 巻 5 号 p. 353-361

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抄録

ポリイミドベルトを効率よく成形加工するために,ナイロン塩型モノマー溶液から直接に回転成形でポリイミドベルトを製膜する技術を検討した.対称性の3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(s-BPDA)型モノマー(Y)溶液から直接形成されたポリイミドは粉末となる.非対称性の2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(a-BPDA)型モノマー(X)溶液を,10mol%以上共重合することにより,ポリイミドベルトの製膜が可能であった.この理由は,a-BPDA型モノマー(X)をブレンドすることで,ポリイミド膜の結晶化によって引き起こされる膜の粉末化の現象を防ぐことができたからである.著者らは,s-BPDA型モノマー(Y)溶液とa-BPDA型モノマー(X)溶液とを混合し,その混合モノマー溶液から直接に回転成形で製膜されたポリイミドベルトの機械特性を評価した.ヤング率,降伏応力,引張強度,そしてタフネスなどの機械特性は,共重合ポリイミドベルトにおける共重合の比率によって決定した.共重合ポリイミドベルトのヤング率と降伏応力は,a-BPDA成分の増加に伴って単調に減少したが,ガラス転移温度は増した.一方,破断強度はa-BPDA成分の共重合が20mol%(X/Y=20/80)で最大値を持ち,破断伸度は60%に達した.さらに,タフネスはX/Y=20/80で最大値を示した.この材料(X/Y=20/80)は,頑強な機械強度を有するため,カラープリンターに用いられる機能性ベルトとして開発することが可能であると考えられる.

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© 社団法人 プラスチック成形加工学会
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