農業生産技術管理学会誌
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幼苗接ぎ木したカキ樹の初期生育
脇坂 勝杉村 輝彦
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2012 年 18 巻 4 号 p. 185-189

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抄録

カキ(Diospyros kaki Thunb.)幼苗接ぎ木苗を用いた接ぎ木2年目(台木の播種2年目)から3年間の初期生育,着果状況および果実品質について調査した.カキ'法蓮坊'実生もしくは'アオソ'実生を台木とした幼苗接ぎ本苗を,1年目(台木の播種2年目)はプラスチック鉢を用い大苗育苗し,2年目以降は,圃場へ定植もしくはポット栽培を行い,慣行苗との比較を行った.幼苗接ぎ木苗は,接ぎ木翌年には全て発芽し,両台木実生の接ぎ木苗に生育差は見られなかった.幼苗接ぎ木苗を用いた全樹は,定植後に枯死する個体は発生せず,播種3年後には着蓄し,1樹当たり0.9kg収穫できた.また,播種4年後の樹冠占有面積は,慣行苗と比較して1.9〜4.5倍有意に広かった.以上から,幼苗接ぎ木法は,慣行苗による栽培方法よりも樹の生育が早く,初期収量が多く得られることが明らかになった.

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© 2012 農業生産技術管理学会
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