本研究は,開発した酸素供給用吸気ノズルの作物への適応性を明らかにするための基礎研究として,DO値(1-3ppm前後の範囲)がミニトマトの生長量(生体重,茎径,葉面積および蒸散量)に及ばす影響について調べたものである。(1)低DO値の養液は,窒素ガスの利用により容易に得られることが明らかとなった。(2)作物の生体重変化はDO値により左右され,DO値25%以下では低い値となった。すなわち,低DO値は作物の生育を抑制した。(3)葉の展開は,DO値が15%以下では抑制される傾向が見られた。(4)茎径は,DO値25%以下の条件では,ほとんど増加しないものと認められた。また,蒸散量においても,DO値が低下するほど低くなる傾向を示した。これらのことから,DO値は作物の生長に影響する重要な要素であり,DO値を変化させることにより作物の生長の調節ができることおよび,作物の生長に応じたDO値を供給する必要性のあることが明らかとなった。