農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
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農作業ロボットのための2波長式三次元視覚センサ
藤浦 建史中尾 清治近藤 直土肥 誠山下 淳
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1995 年 2 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

(1)果実収穫等の農作業を行うロボットの視覚部に用いるため,対象物の三次元形状と色情報を計測する三次元視覚センサの試作研究を行った。(2)このセンサは,比較的近くにある作物を対象とするもので,レーザダイオードから光ビームを発射し,作物表面で反射した光を受光器内のPSD(Position Sensitive Device)で受けるアクティブレンジファインダ方式の走査型距離センサである。野外でも安定的に使用できるよう変調光を投光した。(3)トマトの熟度認識も行えるよう,近赤外と赤色の2つのレーザダイオードを用い,異なる周波数で変調して同軸上に投光し,受光電流を波長別に復調し,対象物における両波長の反射率の違いから,トマトやミカンを認識できるようにした。入力画素数は3600,走査に要する時間は約3秒である。(4)このセンサのトマト収穫ロボットへの適用を検討するため,トマトの三次元画像を計測,認識する実験を行った。実験の結果,光ビームを2波長にすることにより,カラービデオカメラを用いなくても,赤熟トマトの像を得ることができた。また,果実だけてなく茎葉等の三次元形状も認識できるので,部分的ながら茎葉等の障害物を避ける動作も可能であった。なお,今後,さらに距離の計測精度を向上することが必要である。

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© 1995 農業生産技術管理学会
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