2010 年 17 巻 1 号 p. 89-94
食料の国内自給率が、長期的に低下して来ているわが国であるが、現状においては、食べるものがなくて困るということはまだ起こっていない。しかし、日本の人口は減っていても、世界の人口は急増している。このまま人口増加が加速していけば、食料調達を海外に頼っているわが国の食料事情は、いつまでも安泰というわけにはいかない。
国内においても、2010年5月に発生した宮崎県の口蹄疫問題をはじめ、地球温暖化による農作物の収穫変動など、ここ4~5年をみても、食料に関する不安材料は増え続けている。また、海外に目を向けると、遺伝子組み換え食品、環境保護のために作られるバイオエタノールの主原料となるトウモロコシの価格上昇で、家畜の飼料不足も発生している。
人為的問題では、食品偽装問題や食品への農薬混入などもあいかわらず発生しており、国内産だから安心という神話はすでにない。
そんな食品産業の今後をふまえ、どのようにすれば、今後も安心して食べることのできる食品を確保できるのか、どんな方法があるのか、又どのような仕組づくりが必要かについて考えてみた。