平成16(2004)年より製造業への作業者の派遣が可能になり,製造現場での派遣労働者の活用が始まった。ところが2008年のリーマン・ショックに端を発する不況のために,世界的に販売量が減少し,その結果,生産調整のために製造現場の雇用が過剰になり,多くの派遣労働者が再契約の中止,いわゆる雇い止めなどによって仕事を失った。これが切欠となって,2008年末には派遣等の非正規雇用の労働問題がクローズアップされた。
食品製造業は,派遣労働者の雇用の比率は低いが,反面パート社員を製造業中で最も多く雇用しており,製造業種中で最も非正規雇用比率が高い。食品製造業の生産性は他の製造業に比較して60%しかなくかなり低い。食品製造業の雇用は女性パートタイマが多く,平均給与も低く,勤続年数も短いなど,一昨年派遣労働が注目された自動車・電機製造業とは,異なった非正規雇用問題がある。