2012 年 19 巻 1 号 p. 11-16
日本の産業は,大手企業を中心としたバリューチェーンマネジメントが展開されており,中小企業が下支えする構造が構築されてきた。そのため,中小企業は価格決定力の低下,製品やサービスの独自性の抑制など,多くの問題を抱えている。その問題を解決する1つの取り組みとして,地域団体商標登録制度は,脱下請けを目指し,地域と共に成長する中小企業にとって有効な制度であると考える。
そこで,本研究は,地域団体商標登録制度の認定を受けた「西尾の抹茶」を取り上げ,登録後の取り組みや抹茶生産量の現状を調査し,そこから得られた問題について考察した。その結果,愛知県西尾市が日本有数の抹茶生産の都市であることの知名度の低さ,それを打開する方策への取り組みが進んでおらず,商標登録が需要創出に貢献していないことが分かった。