生産管理
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Print ISSN : 1341-528X
研究論文
製造業のサービス化の方向と競争優位のポイント
泉 英明
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2013 年 19 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

良い品質の製品さえつくっておれば売れる時代ではなくなった。新興国を始め多くの国が工業製品をつくれるようになり市場はモノ余り状態になっている。顧客の求める価値も多様化している。とりわけ製品の開発と製品を買った後のサービスに注目が移っている。製造業のサービス化も修理・保守の付帯サービスだけではなく製品ライフサイクル全体の収益化を目指したサービス,ソフトウエアなど製品とのシナジー効果による収益化を目指したサービス,さらには自社製品・資源を活用したサービスのタイプとして展開されてきた。

近年,製品が顧客に渡ってから顧客が製品を使って問題解決するサービス化が注目されている。この流れはサービス差別化として製造業が自社と顧客の共創により価値を創造し,双方の企業に収益をもたらす展開である。本論では製造業のサービス化が進展しても,競争優位のポイントはサービスのQCDであることを提案している。サービスのQはサービス品質であり,サービスを通じて顧客の期待に答えることで,顧客満足を得ることである。サービスのCはサービスコストのことで,顧客の期待するコストで実現することであり,双方が儲かることである。またサービスのDはサービス適時性のことで,サービスを迅速かつ確実に行い需要を増やすことである。

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© 2013 一般社団法人日本生産管理学会
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