日本企業の競争力低落の最大の要因は意思決定の拙遅さとその背後の個人責任の不明確さにある. この難点は第二次大戦の終戦直後に指摘されていたが,その後の高度成長の間に経営改革の焦点から外れていった. 本稿はこの経過の要点をふまえて,日本企業での個人責任の明確化をどのようにして実現するかを次の順序で追求する. 1.まえがき――日本企業の意思決定の拙遅さ, 2,迅速な意思決定の前提, 組織における個人責任の明確化, 3,日本企業はどのような組織設計(コーポレート・アーキテクチャ)を選択できるか, 4,日本企業での個人責任 の明確化の試み――むすび.