2016 年 23 巻 2 号 p. 25-36
製造企業は顧客の多様化する嗜好に対応するために,多品種少量生産を推進している.しかしながら,顧客による注文の際に全ての仕様が決まらない場面が発生することがある.顧客納期を遵守するために,顧客が未定とした仕様を確定できる期間を効果的に管理できる生産管理システムが必要である.そこで本研究では,仕様未定による先行手配に関する業務の挙動とパフォーマンスについて評価する.最初に,未定となった仕様を管理するために,FBOM(Fundamental Bill of Manufacturing)に基づいたF-BOMという生産管理システムを提案する.次にビジネスプロセスシミュレーションを用いて,BOM(Bill of Materials)に基づく一般的な生産管理システムとF-BOMを比較し,顧客の注文を処理するために受注オーダを処理していく業務で発生する作業時間と待ち時間の違いを評価する.検討の結果,F-BOMを採用することによって,作業時間と待ち時間が減少することが認められた.またこの検討を通じて,未定となる仕様を扱う際の留意点について明らかにする.