生産管理
Online ISSN : 2186-6120
Print ISSN : 1341-528X
研究論文Ⓡ
トヨタ自主研にみる組織間知識共有・知識創造マネジメント
岩尾 俊兵加藤 木綿美
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2022 年 29 巻 1 号 p. 7-17

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抄録

本研究は,サプライヤー参加型の小集団改善活動であるトヨタ自主研において,「企業間での知識共有活動・知識創造活動がいかにしてマネジメントされてきたのか」を明らかにすべく,トヨタ自動車とサプライヤーの両者に対するインタビュー調査・事例分析を実施したものである.その結果,トヨタ自動車は,サプライヤーを巻き込んだ自主研活動を進めるにあたり,「他の組織の命令系統に関与せずに学習における注目箇所をコントロールする」という特殊な形のリーダーシップを発揮していたことが判明した.その一方で,サプライヤー側は,こうしたリーダーシップの裏に「自主研活動に失敗したら,今後,注文をもらえなくなる」という圧力を感じてもいた.すなわち,トヨタ自主研活動は,指揮命令系統に従う公式組織と,和気藹々としたサークル的な非公式組織との,中間形態であったともいえる.本稿は,こうしたマネジメント方法こそが,組織間での知識共有・知識創造を促進していた可能性を明らかにした.

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© 2022 一般社団法人日本生産管理学会
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