生産管理
Online ISSN : 2186-6120
Print ISSN : 1341-528X
SCMの経営学的位置付け
モノの流れと情報技術と社内外一体化
伊藤 賢次
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 10 巻 2 号 p. 107-112

詳細
抄録

SCM (サプライチェーン・マネジメント) は, 1980年代における米国のQR (クイックリスポンス) に端を発するといわれている。その狙いは, 従来からある物流 (ロジスティックス) の概念を越えて, 顧客 (消費者) からの要望にいち早く応えるような, 全体としての最適な供給連鎖 (SC) システムの構築にあった。最も重要なことは, 第1に, 生産者 (作り手) の視点から消費者 (買い手) の側の視点への転換であること, 第2に, こうしたシステムの構築を実現可能としたIT (情報技術) の進展によるとされる。それに加えて, 供給側だけでなく需要 (市場) 側を出発点とすべきであること, ITの適用は経営全体へ行うべきであること, 社内だけでなく社外の全取引先をも含むシステムとすべきである, など様々な課題が指摘され, 供給連鎖という名称の適否を含めて, 議論されるべきである。SCMの概念そのものが厳密に定義される必要がある。なおSCMの考え方はTPSのJITと同じであるが, 情報技術を活用している点が異なる。SCHは生産を対象としておらず, 対象範囲についてはTPSの方がはるかに大きい。

著者関連情報
© 日本生産管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top