生産管理
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中堅・中小製造業の技術、管理、戦略
製紙業界再編と王子、北越のTOB問題の考察
桂 信太郎
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2007 年 13 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

これまで内需中心だった国内製紙業界だが、近年の東アジア急成長による市場拡大とグローバルな投資競争の煽りを受けて、国内の紙市況が大きく影響を受けている。王子製紙、北越製紙、三菱商事のTOBに関する一件は、国内製紙業界再々編の序章であり、経済のグローバル化が国内企業経営に及ぼす影響がいかに大きいかを物語る。国内シェアを握る旧財閥系大手資本も危機意識を募らせ、急成長する中国市場への競争に参入している。またその影で、ノウハウの蓄積もコスト競争力もない国内中小資本は撤退・廃業を余儀なくされているケースもある。国内市場の飽和による製紙業界の成熟化と着実に変化する業界再編の軌跡について振り返り、経営環境の激変の中で起こった王子製紙による北越製紙買収騒動についても考察する。

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