2003 年 9 巻 3 号 p. 37-46
1960年代の我が国の開業率は高い水準にあった。開業率は89年以降、廃業率を下回っている。中小企業白書によれば、現在の創業希望者の数は60年代の二倍以上存在しており悲観的になる必要は必ずしもない。しかし、肝心の創業実現率 (開業率) の向上は一向に見られない。また、創業者の3年以内における退出率 (廃業率) は、創業数とは関係なくきわめて高く、創業時に困難が伴うことを示している。成功事例を詳細に示すことは、開業率の向上、困難性の克服に役立つと考えられ、今年で創業20年を迎える (株) オリエント・マイクロウェーブの事例と中小企業白書2002年版の資料との比較を通して、製造業の創業、発展、安定の「ポイント」を述べる。