抄録
残油のFCC処理においては、原料油中のニッケル、バナジウム、鉄などの重金属が触媒上に堆積し、触媒の活性および選択性を著しく低下させるため、触媒の一部を新触媒と定常的に交換して、FCC装置内触媒の活性および選択性を一定のレベルに維持している。活性および選択性を高く維持するためには、より多くの装置内触媒を新触媒と交換する必要があるため、廃棄触媒量は年々増加傾向にある。そこで装置内触媒中の劣化した触媒粒子のみを磁気を利用して分離することで、廃棄触媒量を削減する磁気分離技術を開発し、実証化装置を建設した。実証化装置において、装置内触媒が触媒の磁性差によって分離できていること、表面積やMAT活性から磁気分離後の触媒は装置内滞留時間が長い触媒であること、ほぼデザインの分離効率を達成していることからFCC廃棄触媒30%の削減が可能なこと、を実証化した。