サービス学会初の国際大会が2013年10月16日(水)〜18日(金)の3日間行われた.大会参加者は126名.うち海外からは15名,11ヶ国(South Korea, China, Taiwan, Israel, South Africa, USA, UK, Finland, Sweden, Italy, Singapore)からの参加があった.
開催場所は東京お台場の産業技術総合研究所臨海副都心センター.実は,前日夜中から当日朝にかけて台風26号が関東を直撃するというアクシデント.混乱が予想されたが,産総研持丸大会実行委員長の迅速・適切な判断で,初日午前中のスケジュールをキャンセル,午後からの開催が決まり,参加者に周知されたため,ほとんど問題なくスタートした.
最初のセッションは,吉川弘之産業技術総合研究所最高顧問・東大名誉教授によるキーノートスピーチ.サービスの機能について本質的な考察が進められる.
続いて,口頭発表セッション.今回の採択論文数は56件,3並行セッション,全体では16セッションで発表が行われた.セッションテーマはサービス・イノベーション,サービス理論ヘルスケア,ツーリズム&ホスピタリティ,プロダクト・サービス・システム(PPS),サービス・デザイン,人間機能モデルなど多岐に亘る.全体に工学系研究者の発表が多いことは想定通りであるが,理論構築,実務家による現場の観察データや顧客調査をベースにするもの,エスノグラフィなど,サービス学会らしい幅の広い発表内容が含まれていた印象である.参加したセッションはどれも質疑が活発であった.同じテーマで異分野のアプローチの発表を聞く機会はそう多くはない.大変刺激的である.
初日の最後には,Kwan教授によるサービスデザインワークショップが行われ,グループに分かれてディスカッション,インタラクティブなサービス共創活動を体験することができた.
翌日は発表セッションが集中するメイン日.質疑も活発で,セッション時間内では足りず,共有スペースで議論を続ける人も増えてきた.2日目のスペシャルセッションはサービソロジーに関するパネルディスカッションである.ポジショントークは短めでディスカッション時間が十分とられていた.パネリストから提案されたサービス分類モデルに対し,会場から鋭い質問が相次ぎ,白熱した議論が繰り広げられた.
この日のハイライトは銀座に場所を移しての懇親会.和食のコースと踊り・三味線・寿司作り体験など,国内・海外参加者とも大いに盛り上がった.
同時に,この席で論文賞2件が表彰された.1件は,フィンランドYlen氏らによるシステムダイナミクスによるサービスモデリング,もう1件は,福原氏らによる行動データとPOSデータを使用した和食レストランのサービスプロセス分析である.
3日目の半日セッションも参加者は減ることなく,最後まで熱気を保ちながら閉会した.
〔戸谷圭子(サービス学会理事)〕