サービソロジー
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一般記事
サービス学会論文誌の創刊に関して
日高 一義三輪 洋靖
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2015 年 2 巻 2 号 p. 38-39

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1. はじめに

2015年4月8日(水)~9日(木)に石川県金沢市で行われた第3回サービス学会国内大会では,出版委員会主催のサービス学会・論文誌に関するセッションが行われた.これは学会の学術的活動の側面を強化するために設立された英文論文誌および和文論文誌の紹介を行うと同時に,学会員からの論文誌に関する率直な意見を聞く意図をもって設けられたものである.以下, セッションの概要を紹介する.

2. 出版委員会による説明

2.1 英文論文誌

サービス学会では英文論文誌“Journal of Serviceology”を創刊したので積極的な協力をお願いしたい.海外では“Journal of Service Science”,“Journal of Service Research”などの論文誌があるが,サービス学会では,アカデミックコミュニティが成長するためには学術的な蓄積をする活動の場が必要と考えており,サービス研究を原点から議論できる論文誌を目指している.

英文論文誌の目的は,投稿規定にもあるように,“publishes original papers focusing on both theories and practices of all topics relating to emerging issues of service in the world.” となっており,理論的な研究,実践的な研究の双方を取り上げる.また,サービスの1要素の研究ではなく,システムとしてのサービスの研究が必要であると考えているので,様々な既存の技術,要素,アカデミアのアイデアを統合してサービスに関する研究を行っているかどうかが重要と考えている.また,サービス研究は実学としての側面が強いことから,社会的,経済的,実質的な価値が検討されているかも重要となる.

これらを踏まえ,採択基準としては,学術性,有用性,革新性の観点から採択を行いたい.学術性とは学術の発展に寄与する新たな知見が含まれていること,有用性とは経済,社会の発展に寄与する有用な知見が含まれていることである.そして,革新性には,新しい学術・技術領域,新規概念,あるいは,異分野融合などの新規方法など,新しいことにチャレンジしていることである.

2.2 和文論文誌

サービス学会は日本サービス学会ではない.国際的なサービス研究として,アカデミアを切り開くために活動していくべきである.この考えに基づき,当初,論文誌も英文のみで準備を進めてきた.これに対して,多方面からのリクエストに応えるため,今回,和文論文誌を検討することになった.

サービス学会の論文誌では,産学共同,文理融合でないと解けない問題など,分野融合的な論文を採択していきたいと考えている.また,工学系,経営系それぞれの分野で書き方の作法があるのが現実だが,十分な知見が含まれているのに,作法だけの理由で採択されない論文も受け付けたいと考えた.このような経緯から英文論文誌だけでなく,和文論文誌も必要という議論になった.

和文論文誌の特徴としては,英文にするには時間がかかる速報性がある論文,および,日本語の会話分析など,日本特有,日本語特有の問題で日本語で発表されることに価値がある論文を受け付けることにある.

和文論文誌の論文には以下の2つのカテゴリーを用意する.

  • (1)原著論文:英文論文と同じ査読プロセスを受ける論文.
  • (2)報告:実務の世界での使われ方,応用の仕方,実務界で起こっていることなどを報告するもの.査読プロセスを経るのではなく,一定の形式を満たしているかの「審査」を行う.

発刊形式は,学会の季刊誌である「サービソロジー」の後半に和文ジャーナルが附属する形になる.つまり,別の和文論文誌が届くわけではなく,季刊誌との合本という形で発刊される.また,季刊誌,和文論文誌はJ-STAGEで公開する予定である.

最後に,会員の皆様に3つのお願いがある.まず,諸般の経緯で日本語でないと書きにくい,事例の報告がしたい場合には,積極的な投稿をお願いしたい.次に,今後,順調に発刊が進むと,出版委員が足りなくなるおそれがある.出版委員への参加に協力をお願いしたい.最後に,査読は出版委員のみが行うのではなく,査読担当者を決めて,会員の皆様に査読をお願いすることもある.小さな学会で価値があることは,迅速に査読が回ることである.ぜひ,迅速かつきちんとした査読への協力をお願いしたい.

3. 会場からの意見・要望

出版委員会からの説明後,会場から以下の3件の意見,要望が寄せられ,一部の要望については出版委員から回答があった.

  • <要望1>

まず,企業の方が論文を投稿するのは難しい.企業の方から論文の投稿を増やす仕組み,活動を工夫して頂きたい.

次に,企業の方が出してくれると同時に,大学院生と大学の先生の立場からも論文は大切である.大学院生の場合は,迅速な返事が大変重要である.例えば,3週間などと期限を明示し,その期間で返信すると約束をして頂きたい.3週間で返事がくると分かっていれば,博士論文で大変な時期に目を向けてもらう形で呼び水にできるし,修士でも論文が必須の大学はある.

また,大学教員におけるメリットとしては,業績もあるが,学科,学部の改組を文部科学省に届け出るとき,サービス学会の論文をきちんと認めてもらう必要がある.そのためには,査読プロセスをホームページ上で公開して頂きたい.文部科学省でも,この学会がどのように査読をしているのかがホームページを見て分かれば,サービス学会の論文を大学教員の業績として認めてもらいやすくなる.

最後に,査読料,掲載料はできるだけ安くして頂きたい.

  • <回答1>

要望は承知した.掲載料は無料である.

  • <要望2>

企業からの投稿は難しいが,産学連携を進めると,大学も企業のデータがあるために論文投稿が進まないケースがある.そこで,投稿はするけれど,発表は2年後でよい,もしくは,2年後にしてほしいというやり方はできないだろうか.つまり,受付ならびに査読終了は,それなりの期間で終わるけれど,実際に公開されるには時間がかかる.その間のタイムスタンプはちゃんと押してある.そうすると,産学連携をしていて,その段階で書いても,後から出版されるため,すぐに業績にはならないが,長期に渡ってみれば,それなりの結果を出せるようになる.特許を取るときも,発表が遅くなるからアイデアに関してはすぐに世の中には出ない.査読の方には漏れるから特許の争いでは弱くなるかもしれないが,公表という形にはせず,遅らせるというものである.ご検討頂きたい.

  • <要望3>

英文論文誌,和文論文誌どちらについても,ここに掲載されたものが,外部から認められるためには,関連研究をきちんと引用する,される関係が大切だと思う.さらに,他の学会からも引用されるような形になっていかなければ,論文誌としての存在価値の高さを証明できないと思う.査読プロセスや査読基準の中に,適切な参考文献の引用の項目を加え,同じ分野で必要な参考文献を引くようにしてはどうか.論文の価値を高めるような工夫を査読プロセスの中に入れて頂きたい.

  • <回答3>

要望3については,基本的には投稿される研究者の話だと思うが,そういう観点も重視したい.

著者紹介

  • 日高 一義

東京工業大学大学院イノベーションンマネジメント研究科教授.博士(理学).日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所,北陸先端科学技術大学院大学教授を経て2010 年10 月より現職.文部科学省科学技術政策研究所客員研究官.科学技術振興機構社会技術研究開発センター問題解決型サービス科学研究開発プログラムプログラムアドバイザー.サービス学会理事.IEEE 会員.情報処理学会会員.日本オペレーションズ・リサーチ学会会員.

  • 三輪 洋靖

2001年早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程修了.2004年9月学位取得.博士(工学).早稲田大学理工学部機械工学科助手,早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構客員研究助手を経て,2005年4月産業技術総合研究所入所.人間情報研究部門主任研究員として,サービス品質の可視化,サービスプロセスの可視化,嚥下機能の評価に関する研究等に従事.

 
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