1967 年 18 巻 3 号 p. 106-109
以上の全実験結果を要約すると次のようになる。
(1) アンモニア曝気法による耐食性試験は, 雰囲気温度とアンモニア濃度の規制によって良好な再現性を有し, 耐食性試験法として有効である。また簡単な応力試験法としても利用できる。
(2) アンモニア曝気法の適用基準および耐食性の判定基準は, メッキ製品の品質, 使用目的, 下地メッキの種類ならびにメッキ素材の種類などによって当然違いが生じるので, 十分検討されるべきである。
(3) 5μ程度の光沢ニッケルメッキの上にロジウムメッキ (1μ以下) をする場合, 耐食性は好ましくない。これはロジウムメッキの品質, 条件に関係なく, 下地ニッケルメッキ層に耐食性不良の原因があるからである。これを改善するには, 二重ニッケルが効果的で, 7μでかなり優れた耐食性が得られた。
なお本実験の過程で, メッキ素材自身に相当のピンホールがあって, これが耐食性に大きな重要因子となっていることが分った。また, メッキ素材の冷間加工や外力荷重などによる内部応力の増加現象が, あたかもメッキ層の内部応力が高いかのように現われることがあるので, いずれもメッキ素材の加工, 選択上大切なことがらの一つである。