抄録
多数の金属小片を収容する籠型極のもつ特殊な電極構造の故におこる電解解槽の槽電圧上昇の原因のうち, その構造性に1次的に依存すると思われる因子を, 最も簡単な模型籠型陽極を用いて観察した。その結果このような集合体電極の内部の電解液の対流を阻害するためにおこる濃度分極的効果および素電極 (小片金属) 相互間の不完全接触による接触抵抗効果の存在を明らかにした。
つぎにこのような電解属における電気回路を, 多数の素電極からなる集合電極系とみなして, 並列回路網を想定し, その一次元的等価電気回路から槽電圧を接触抵抗電解液抵抗, さらに普通の板状電極における電解電圧(電解液のオーム抵抗による電圧降下を除く) をもって表わす式を誘導し, これらを用いて槽電圧経時変化の解析を試み, ブリキクズ陽極溶解の場合において実測値とのよい一致を見出した。