鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
築別炭礦の地質とその石炭について
服部 幸雄
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1961 年 11 巻 45-46 号 p. 223-229

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抄録

築別炭鉱は,苫前(とままえ)炭田の北東部に位置し,天北炭田と同じ中新世に属している.基盤は上部白亜紀層で新第三紀層が,不整合に被覆している.新第三紀層は下部から原の沢層・羽幌層・三毛別(さんけべつ)層・築別層・古丹別層に分けられる。稼行炭層は,羽幌層中にあって,炭層の上下盤より烏貝田螺の化石を多産することから,淡水成堆積物であることを示している.羽幌層の上部は,海成層の三毛別層に斜交不整合をもつて被覆されている.築別本坑区域は,築別背斜構造山地の南東側にあつて,西は中の沢断層,北西側は一年山衝上断層,南は熊の沢断層,東側は苫前衝上断層によつて境し,1区域を形成している.この区域内の石炭は,隣接近傍区域に比較して,水分が低く,高カロリーを示している,炭層の下盤には黄鉄鉱と方解石を多量産出するほか,全般的に上下盤に繊維方解石の細脈を伴い,また石炭中にも方解石の薄膜が多量に滲透している.これらの現象から地殻変動の際,断層面や亀裂を通じて,地下から上昇した比較的低温の熱水液が作用し,炭化を促進したものと考える.

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