鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
アルゼンチン,パタゴニヤ地方の螢石鉱床の螢石中の液体包有物の充填温度の測定値についての統計的分析
早瀬 喜太郎Teresa MANERA
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1973 年 23 巻 117 号 p. 1-12

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抄録

アルゼンチン,パタゴニヤ地方には多数の裂か充填型蛍石鉱脈が見出される.これらの鉱脈のあるものについて系統的にその鉱脈を横切って採取された蛍石試料中の液体包有物の充填温度を測定した結果明かに次の傾向が認められた.
(1)多くの場合,鉱脈の中心部の幾分上盤よりから採取した蛍石中の液体包有物の充填温度の平均値は最高値を示し,両盤へ向ってその平均値は次第に低下する.
(2)上盤近くから採取した.蛍石の充填温度の平均値が最高値を示し下盤へ向って次第に低下する傾向の認められる場合があるがその例は少ない.
(3)鉱脈を横切ってのこの様な温度勾配は鉱脈の走向に沿っての温度勾配に比し遙に大きい.
統計的分析の結果はこの様な傾向が大きな確率のもので実在すると考え得る事を示す.蛍石中の液体包有物の充填温度と共生する鉱物や母岩の種類との間に何等の相関性も認められなかった.

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