基底型ウラン鉱床は,日本の第三系の中に広く分布している.原子燃料公社とそれを引き継いだ動力炉・核燃料開発事業団の,20年間にわたる探査によって蓄積されたデータをもとに,基底型ウラン鉱床の生成に適した条件を検討した結果は,次のとおりである.
基盤にカコウ岩体が存在すること.
不整合面に,支流を伴う谷地形が存在すること.
基底たい積物中に,地下水が停滞するようなトラップ構造が存在すること.
基底たい積物中に,こまかく分散した有機物または吸着能の高い鉱物が存在すること.
基底たい積物をおおう不透水層が存在すること.
以上の条件のすべてを兼ね備えたようなところは,たとえば人形峠鉱山や東濃鉱山の鉱床のように,すぐれたウラン鉱床となっている.このことは,基盤のカコウ岩中からウランを抽出した地下水が,基底たい積物中に浸透して,これらの鉱床を生成した,という考え方に調和している.