鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
フィリピンのポーフィリーカッパー鉱床
その構造的背景と開発の現状
茂木 睦
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1977 年 27 巻 143 号 p. 221-230

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抄録

近年の環太平洋地域ほぼ全域にわたるポーフィリーカッパー鉱床の発見の歴史において,わが国やスマトラなどの島弧にこの種の鉱床が発見されていないことは鉱床学における七不思議の一つに挙げられるかも知れない.かってポーフィリーカッパー鉱床は厚い大陸地殻上に生じた花崗岩質マグマの活動でなければ伴われないと考えられたことがある.しかしフィリピンはそのような島弧であろうか.またポーフィリ―カッパー鉱床は島弧の構造が比較的単調な所には産出しない見方もできる.わが国の東北日本弧は世界的にみて単調なものに属するであろうか.
昭和52年度に発足した日本鉱山地質学会のポーフィリーカッパー鉱床研究委員会*1では,初年度に数回の会合を重ね,この種の鉱床に関する現状の問題点を出し合い,討論してきた.そしてわが国に発見されていない事実を直視し,島弧活動とポーフィリーカッパー鉱床との関係を最大のテ―マとして取り上げた.環太平洋地城の島弧のなかでは,フィリピンはもっとも複雑な構造を有しているものと考えられ,かつ鉱床の発見数も多く,鉱業的に非常に重要である.まずフィリピンについて研究の現状を茂木委員が中心となってまとめた.この結果は本来は委員会資料であるが,一般会員の便宜と委員会の成果の公表との双方を考慮し,研究委員会としての若干の補足をおこない,ここに公表するものである(ポーフィリーカッパー鉱床研究委員会).

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