1980 年 30 巻 163 号 p. 265-276
釜石接触交代鉱床の銅および鉄銅鉱石中にはペントランダイトが広く認められる.このペントランダイトは普通500μm以下の粒子として産し,キューバ鉱―黄銅鉱および磁硫鉄鉱―黄銅鉱の組合せを有する塊状硫化物鉱石から比較的多量にみいだされる.
種々の産状を示すペントランダイトのEPMAによる化学分析によると,そのNi/Fe原子比は,一部の例外を除くとあまり変化せず,ほぼ1に近いが,Co含有量の変化に富み,コバルトペントランダイトから含コバルトペントランダイトにわたる.また反射率,微小硬度および格子定数の測定を行い,これらと化学組成との関係を検討した.ペントランダイトの産状,鉱物組合せおよび産出箇所と組成との関係についても考察を加えた.